偽物兄妹
放課後……
なぜか気分があまりよくないあたしは
一人孤独に帰ることにした。
本当ならいつも翔と帰ってるけど…。
でも、今日はいいや。
あたし一人で帰る…。
…はずだった…
「実亜~ッ!!」
…へ?
後ろを振り向くと
翔がこっちに向かって
走ってきた。
…なんで?
翔が…?
「どうしたの?」
「どうしたのじゃないよ!!
…俺、美亜のことまってたのに
いつもなら一緒に帰るのに…
実亜がいないからさ…!」
翔は目が少し潤んでた…。
なんで…
どうして翔はそんなに悲しむの?
あたしとそんなに一緒に
…帰りたいの?
「実亜と…一緒に帰りたかったのにッ」
そんなこと言われると
期待しちゃうじゃん…。
「…ごめん、用事があってさ」
ほんとは用事なんないけど…
あたしはこんな嘘を
つくことしかできない。
「そっか…
…じゃあ一緒に帰ろッ!」
翔はにこっと笑う。
なんでそんなに優しいの…?
なんか、心がズキズキするよ…。
「…うん。そうだねッ!」
あたしも
精いっぱいの笑顔を見せた。