俺と茜のナツメの樹
失われない記憶
「、、、もう春か。」
俺、(池上 晴紀)は満開の桜ふぶきを見てしみじみ思う。
バシッ!
「ってぇ!何だよ!人が気持ちよく春を満喫してる時に!」
「馬鹿もん!今は俳句の授業じゃないぞ今は数学の授業だ!池上!あの問題解いて来い!」
「はい!先生、見るまでもなく分かりました。」
「何?答えはなんだ?」
「いえ、分からないことが分かりました。」
先生は口をポカンと開け辺りには男女の笑い声が響いた。
「はぁ~」
先生はふと溜息をつきながら黒板にもどり、また晴紀のもとへと行進し始めた。
そして晴紀の頭に手を置いた。
「決してお前が悪いんじゃない、、、お前に期待した俺が悪かったんだ。」
「あはっ、先生分かってる~。」
スゥ~。先生は大きく息を吸った。