白球追いかけて
 友を想う気持ちが、友を呼ぶ声へとかわる。
 いつまでも心の中にある”アレ”。
「ふぁわ~ん」「ズキッ」―痛い。
 あのころを音にするとこうなるのかな。
 人にはみな、そこに立つとココロの底から”あのとき”に戻らされるような、”自分の原点”とも呼べる場所がある。
 気分をわくわくさせ、それでいて少し蒸し暑さを感じさせる初夏の風が、融けかけのバニラアイスのような砂煙をたてる。バニラアイスの砂煙。融けかかっていたあの日々が鮮明によみがえってくる。ショップのウィンドウよりも、シャボン玉よりも透明に、ブルーで、そしてピンクのもやをかけて。


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