白球追いかけて
 そのオレたちの前方から、花火帰りらしい親子連れが歩いてきた。この雰囲気、子どもでもなにか感じるものがあるのか、不思議そうにオレ達をのぞき込んでくる。その子の表情とは対照的に、ケメは穏やかな、優しい顔つきで子どもを見ていた。
 その子が通り過ぎていくと、ケメはいったん出そうとした言葉を飲み込んでから、今度は両手の拳をに力を入れて、振り絞るようにオレに言った。
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