白球追いかけて
 電車を降りると独特の雰囲気が漂っている。ここは、一周、緑の蔦に覆われた球場で、今年は北海道と愛媛勢が優勝旗を目指して戦う。
 内野もアルプスも満席で、ライトの愛媛側のスタンドに座った。かんかん照りの日差しが容赦なく降り注ぐ。ペットボトルのミネラルウォーターはすぐにお湯に、フードコーナーで買ったかき氷は色のついた水に変わった。
 プレイボール。試合はほぼ毎回得点。逆転に次ぐ逆転でとても白熱した。その一挙手一投足がオレたちを試合に引き込んでいく。あのピッチャーの配球がいいだとか、さっきの走塁のタイミングが遅いだとか、気がつけば、二人で熱心に試合を語っていた。
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