白球追いかけて
 激しい展開にもかかわらず、試合運びは速かった。いつの間にか試合は、七回、八回、九回とあっという間に終盤へ。そして、九回のラストイニングを抑えた瞬間、マウンドにナインが集まる。人差し指を真っ青な空に掲げ、抱き合っている。
今年の優勝旗は北の大地へと向かうことになった。表彰式が終ると、北海道勢が球場を一周する。そのあとに愛媛の球児たちが続く。
 スタンドからも彼らの目が赤くなっているのがわかった。本当に悔しかったのだろう。しかし、その表情にはすがすがしさがにじみ出ていた。
 優勝した北海道もすごかったが、愛媛にも感動させられた。いや、むしろ準優勝の愛媛ナインのほうに、より一層の拍手が浴びせられていた気がしたのは、こちらが愛媛側のスタンドだからというだけではなかっただろう。
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