白球追いかけて

　毎年の経験から、高校野球が終ると、夏休みもあと少しという気がする。ケガをしたせいか、この年はいつもの夏とは何かが違う気がした。色々なことがあった夏だが、長い休みの終わりはどこか切ない気がして、寂しい。
　やはり想像したとおり、ここから始業式まではあっという間だった。夏休みの最後の三日間は練習もオフで、遅くまで起きていたし、遅くまで寝ていた。たった一日で昼夜が逆になったから、初日の学校は朝がつらかった。
　オレの姉ちゃんは大学生だから、まだ夏休み。毎日昼過ぎからバイトに行って、遅くまで遊んで帰り、朝はクーラーの中でのすげぇ爆睡。それを横目に、テレビの占いを見て、家を出た。
　夏休み明け、クラスのコは日焼けしていて、何人かは茶髪になっていた。ヨシナもケメも染めた髪の毛を担任に注意されていた。
「お前らも派手にやったなあ。明日までに直してこいよ」
「はぁぁぁぁい」
　ヨシナは舌を出して、ケメは右手で頭をかきながら反省（？）していた。