白球追いかけて
 そう考えていると、診察室のカーテンを「シャー」と半分ぐらい引いて、看護師さんが、
「瀬谷さーん」
 とオレを呼ぶ。診察室にはおなじみの先生が裸足にスリッパをはいて待っていた。
「調子はどう」
 優しく話しかけてくれる。
「順調っすよ」
「もう練習ははじめているんかなあ?
「はい、こないだから。みんなとは別メニューですけれどね」
「そっかぁ。痛いとかはない?」
「はい、最近はまったく」
「じゃあもう完全にくっついたかなあ。あとでレントゲンを撮ってみよう。それにしても野球っていいねぇ。今年の高校野球も感動したしねぇ。北海道も愛媛も、よくがんばったなあ」
「来年は、僕らが甲子園に行きますから、見に来てくださいよ」
「言うねえ。じゃあ、その日は休みをとらんとな。楽しみにしとくよ」
「はいッ」
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