白球追いかけて
「冬休みも練習?」
「二十八日まで。一月は四日からやな。私学のすごいとこなんか、正月以外は全部練習んとこもあんねんで」
「え~すごい」
「あいつらホンマ年中、野球漬けやねん」
 二人で並んで歩いていると、メイン通りに向かう交差点で、少し前のほうに見たことがある女のコの後ろ姿が目に入った。隣りには同じ年齢ぐらいの男。ほんの一瞬だけ見えた横顔がなんとなくケメと似ていた。
「ジュン君、赤やで」
「えっ」
 急に足を止める。
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