白球追いかけて
 ナツミは風邪のウィルスを吸ってくれた気がする。次の日、オレはとてもスッキリして元気になった。
 そして今度は、ナツミが風邪になった。
「大丈夫?」
「朝から少し熱があるみたい」
「なんかゴメンな。風邪うつしちゃったみたいで」
「ううん。ええよ」
 電話の声はあまり元気がなかった。
 ナツミの風邪で、年末から年明けにかけてあまり会わなくなった。せめて、元旦だけはメールを送ろうかと思ったが、電話した。
「あけおめぇ~」
「あけおめッ。あとでメールを送ろうと思っててん」
 ナツミは初詣の帰りだった。ちょいフラングしてしまった。おたがいタイミングが合っていない。
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