白球追いかけて
 そして次の日の試合は、両チームの部員がグラウンドを整備し、なんとかプレイボール。しかし、トウサ高校はこの試合、かなりの苦戦をした。
 雨が降ったあとのグラウンドの上に、南校の打線はゴロばかり転がる。不自然に盛り上がった地面や、スパイクの跡が残りやすいやわらかな土。その上で、ゴロがまるで、じゃれ合ったハムスターのように転がる。打球が読めない。野球のエリートたちにとっては、予想外の展開だったようだ。
 だが、真の力とは、偶然に左右されるものではなかった。内野がエラーをしても、外野がファインプレー。走者が進塁しても、シータがきっちりと抑える。まさに全員野球。そして、最後はそのシータが前の打者を進塁させ、三番バッターがサヨナラヒット。
 この瞬間、オレはシータと再び野球で対戦することとなった。
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