白球追いかけて
おそるおそる、練習でできた豆のあとが残った右手をそっとケメの肩に触れようとしたその瞬間、ケメは顔を上げ、オレの顔を見た。その姿を見るなり、オレの差し出そうとした手は止まった。そして、ケメはオレの手の反対側へ顔を背けた。
偶然だったのだろうか、それはわからない。しかし、手の側へと向いてくれなかったことを惜しいと思う気持ちと、こちら側でなくてよかったという安心感が、そこには生まれた。
空を見上げてみると、前にはうっすらと右下がぼやけた不完全な丸い月があり、背後には沈みかけなのに炎々と輝く夕日があった。
偶然だったのだろうか、それはわからない。しかし、手の側へと向いてくれなかったことを惜しいと思う気持ちと、こちら側でなくてよかったという安心感が、そこには生まれた。
空を見上げてみると、前にはうっすらと右下がぼやけた不完全な丸い月があり、背後には沈みかけなのに炎々と輝く夕日があった。