【風の天使】

あの学園長のせいでこんな学園に入らされることになったんだから…

椎菜は学園に通うのが嫌で、5年前、普通の10歳なら学園入学するはずの季節に入学せず、家庭教師を家に呼び今まで過ごしていた


椎菜の家は両親が幼い頃に他界していて祖父母と一緒に暮らしている

祖父母は大企業を経営しており、一ノ瀬財閥は有名な会社だった



「失礼します」

学園長室と文字が掘られたドアを開いて中へ入る


「久しぶり、椎菜ちゃん」

相変わらず派手なババァ…
香水が臭くて鼻が曲がるじゃない

椎菜は頭の中で呟きながらも表面上の笑顔は絶やさず学園長に近付いた

「相変わらずですね、おば様」

「椎菜ちゃんは日に日に綺麗な女性になっていくわね」

おば様妬けちゃうわ、と唇を尖らせる


「おば様、そんなことより……おば様が私を呼んだ理由を聞かせてもらえます？」