5日間の恋。
私は、高校2年生の斉藤ゆいか。
ちょっと変わった考えを持った学校に通っている。
暗黙の了解は、『恋愛禁止』。
こう言ってしまえば「こんな学校ありえない!」で終わりなのだが、一応、そこのところは私もちゃんと理解しているつもりだ。
「こんな変わった学校に来ているのなら、そのことを徹底してやらないか」
これが、モットーの学校。
私も、この学校の生徒の1人。 いつまで経ってもぶーぶーとぶーたれていられることはできない。
「この学校を受け入れ、学びを徹底させよう」
中学2年生で転入してきてから、最近やっと、そう思える様になって来た。
そんな、頃だった。
『彼』の存在が目に入ってしまった。
同い年の、
稲森瑞樹くん。
肌は健康的に茶色く焼けてて、顔は小さく整っていて、背が高く、手足が長い。
頭も良い方で、スポーツ万能ときた。
女の子が、放っておくわけがないタイプなのだ。
私が、私の中に彼を「1人の人間」として認識する様になったのは、ほんの小さなある『きっかけ』からだった。
「稲森、ゆいかのこと好きらしいよ」
。。。この、たったひと言だった。