君にホームラン
「はい!一応けが人なんだから気をつけなきゃ」
松葉杖を拾ってくれた梨紗。
た…助かった
「サンキュー」
そう言って受け取り、足を支える
「病院ってつまんねえな」
俺が呟くと梨紗は笑った
「まぁね!けどね、いいとこあるんだよ!」
「いいとこ?」
「うん!案内してあげるよ!きっと気に入るよ」
病院にいいとこ…?
そんなんあるのか?
「梨紗ちゃーん!検査の時間よ」
後ろから看護婦さんの声がして、梨紗は振り返る
「はーい!あ、じゃあまたね、拓哉!」
「あ…ああ。また」
にっこり笑って手を振りながら戻っていく梨紗。