君にホームラン
「別に…普通のベンチだけど…」
俺がそう言うと、梨紗は困った顔をした
「誰がベンチの感想を言ってって言ったのよ。見て!上!」
「上…?」
俺は上をふと見上げる
「空!きれいでしょ!?病室からだとなかなか見えないから…。あとね、目閉じて耳をすませてたら、色んな音が聞こえるの。のんびり時間が流れていってるみたいで、私この場所が好きなんだ♪」
梨紗はゆっくり目を閉じる。
俺もそれを見て目を閉じてみる。