月・影

『コルロ』

 そして、丈は何事もなかったように歩き始めた。




「なぁ、丈。お前が持っていた呪府最初は白紙だったのに、途中で文字が浮かび上がってきたように見えたぜ?」




光は、あの戦いで見て、疑問に思ったことを丈に聞いてみたのだ。




「あぁ、あれは『コルロ』さ。体内に含まれる精神エネルギーで、それを操って、色々なことができるのさ。まぁ、『コルロ』には人それぞれ多様な『輝』《かがやき》があるんだ。」




「へぇ~。そうなのか。その『コルロ』ってのは、俺にもあるのか?」




光は目を輝かせていた。




もし、そうなら光も足手まといにならずにすむかもしれないからだ。




「あぁ、あるよ。まずは、街に行って、その『輝』を調べないことには……。」




「そうか…。早く街に着くといいな。」




 それから、しばらくの間、歩き続けた。




光はもう何時間も歩いた気がしていたが、日は一向に落ちる気配がなかった。


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