月・影

『ヴァンパイア』

 ある夏の新月の夜。




闇雲《やみぐも》 光《ひかる》は、何もすることのない退屈な夏休みに何か楽しみを見つけようと、ベランダで空を眺めた。




「はぁ。東京じゃあ、星すら見えない。」




光はそう呟いてからしばらくして、自分のベッドに戻った。




光がなかなか眠れずにいると、ベランダの窓が開く音がした。




「何の……音だ?」




光は、ベランダの方へ向かった。




すると、そこには髪の毛が白い青年が立っていた。




「アンタは…誰だ?」




「僕は、白川《しらかわ》 雪兎《ゆきと》。月から来た。」





「月から……だと? そんな嘘信じるとでも?」





光がそう言うと、雪兎は膝を突き、頭を下げた。

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