月・影
光は慌てて、その女の子を引き剥がした。




「お前は、何者で目的はなんなんだ?」




「仕方ないわね。教えてあげる。私は、夏供夜《かぐや》 星《あかり》。雪兎に頼まれて、あなたの肉体を攫いに来たの。」




「なるほど。納得だ。あいつの差し金だったのか。」




光は、星に掌を向けた。




「なんのつもりだ?」




「俺は、本気で行く。」




光がそう言った途端、光の手が炎に包まれた。




星はまだ笑っていた。




「やってごらん。」




―だめだ。アイツの言葉に耳を貸しちゃ。集中するんだ。俺!!




光は、心の中でそう呟くと目を閉じて、コルロを手から放出した。




「な…何?」




「言ったろ!! 本気で行くって!!」
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