月・影
そのとき、蓮が光の腕を掴んだ。




「蓮。お前は、家に帰ってろ。」




「ひ…光は?」




「ちょっと様子を見てくる。」




「じゃあ、私も。」




「ダメだ。危険すぎる。」




「何で?  ・・・光、何かあったの? いつもの光と違うよ!!」




光はそれでも、蓮が掴む腕を振り切った。




「なぁ、蓮。いつもの俺ってどんなだ?」




「いつもの光は……そんな危険なところに真っ先に飛び込んでいくような人じゃなかった。」




「……そうか。じゃあ、きっと変わったんだ。人は……変わるさ。」




光はそう言って、川の方へ走っていった。
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