月・影
ヴァンパイアハンターの仕事にはもちろん危険があふれている。




「でもな、光。俺は、お前を守りながら戦う余裕はないぜ?」




「あぁ、自分の身は自分で守るさ。」




光はそう答えて、この月の世界に残ることを決めた。




 それから、二人は月の世界でヴァンパイアを探した。




「なぁ、丈。さっきのやつもヴァンパイアなのか?」




「いや、違う。俺のヴァンパイアレーダーが反応しなかった。」




「ヴァンパイアレーダー? そんなものがあんのか?」




「なぁに。俺の経験からくる直感のことだよ。」




「お前、どれくらいヴァンパイアハンターやってるんだ?」




「まぁ、十歳の頃からだから、七年くらいかな。」




「そんなに……。でも、何でヴァンパイアハンターなんて―。」




光がそう言いかけたとき、丈が手で遮った。




「どうした? もしかしてヴァンパイアか?」




「いいから黙ってろ。」




丈の雰囲気は変わっていた。
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