思い出のフィルム
静かな下り列車
私は一輪の花を目の前にカメラを構えた。
5年前に買った一眼レフ・デジタルカメラを両手でしっかりと持ち上げて、神経を集中させた。
風に揺れる一輪の花を見つめ、全神経をその一輪の花に集中させた。
そして私は素早くシャッターを切り、すぐさま内容の確認をした。
画面にはまるで曇りガラスを通したかのようにぼやけてしまっていた。
植草英治25歳、独身。
冒頭でも説明したが、今はしがないサラリーマンだ。
本当はカメラマンとして秘境を探検し、誰もがたどり着かなかった秘境を追い求めるのが夢だった。
ただ、一つだけ、たった一つだけ私にとって足りないものがあるとしたら、それは才能のかけらもない撮影技術だった。
今、致命傷だと思った方は多いだろうが、私には写真に対する情熱も、冒険家の魂もある。
だから日々諦めずに、一枚の写真が納得のいくものになるまで撮り続けていた。
そんな私に一つの奇跡が起こる。
それは私にとって最初の冒険であり、最初の秘境であり、そして最初で最後の駆け引きだった。
今ではあの冒険が本当のことだったのかわからなかった。
でもあの幻のような体験があったから、私は今、カメラマンとして幸せな夢を追い続けることができるんだ。
そしてそれが幻ではなかったと判断できるものもある。
それはこの物語を最後まで読んでくれた人にだけ明かすことにしよう。
5年前に買った一眼レフ・デジタルカメラを両手でしっかりと持ち上げて、神経を集中させた。
風に揺れる一輪の花を見つめ、全神経をその一輪の花に集中させた。
そして私は素早くシャッターを切り、すぐさま内容の確認をした。
画面にはまるで曇りガラスを通したかのようにぼやけてしまっていた。
植草英治25歳、独身。
冒頭でも説明したが、今はしがないサラリーマンだ。
本当はカメラマンとして秘境を探検し、誰もがたどり着かなかった秘境を追い求めるのが夢だった。
ただ、一つだけ、たった一つだけ私にとって足りないものがあるとしたら、それは才能のかけらもない撮影技術だった。
今、致命傷だと思った方は多いだろうが、私には写真に対する情熱も、冒険家の魂もある。
だから日々諦めずに、一枚の写真が納得のいくものになるまで撮り続けていた。
そんな私に一つの奇跡が起こる。
それは私にとって最初の冒険であり、最初の秘境であり、そして最初で最後の駆け引きだった。
今ではあの冒険が本当のことだったのかわからなかった。
でもあの幻のような体験があったから、私は今、カメラマンとして幸せな夢を追い続けることができるんだ。
そしてそれが幻ではなかったと判断できるものもある。
それはこの物語を最後まで読んでくれた人にだけ明かすことにしよう。