思い出のフィルム
ローカル線であるせいか、一駅一駅丁寧に止まっていった。
駅の間隔がかなり長かったせいか、駅に止まったころには再び寝息をたてていた。
暖かい日差しが背中にあたり、涼しい風が髪を撫でるといった、朝の居眠りには最適な環境だった。
そして私は突然目が覚めた。
それは私の右肩にトンと硬いものが当たったからだ。
私は右肩を見ると、そこには髪の長い小さな女の子の頭がぶつかっていた。
先ほど止まった駅で乗ってきて、そのまま眠りこけてしまったのだろう。
見ればまだ高校2、3年生くらいのかわいらしい寝顔をしていた。
しかしながら制服を気ながらこんな時間まで電車の中で居眠りとはけしからん限りだった。
当然のことながら人様のことをどうのこうの言える立場ではないが。
その子はクビから大きなカメラをぶら下げていた。
私にもこんな時期があった。
学校さぼってとにかく綺麗な景色を探す旅に出た。
そしてたくさん写真をとってフィルムが写真になるのを心待ちにしていた。
内容は散々たるものだったけれども、それでもあのとき一番よく撮れた写真は今でも財布の中にしまってあった。
私は彼女に肩を貸したまま、鞄の中にあった手帳に目を通した。
そこにはビッシリと文字が敷き詰められていた。
それは会社のスケジュール帳でもなければアイディアブックでもない。
それはこれまで書き連ねた空想の種本のようなものだった。
いわば自分が雑誌投稿をするためのネタ帳であり、冒険に駆り立てる想いを込めた大切な手帳なのだ。
私はそれを眺めながら真っ白な浜辺や、誰もいない湖、深い森の奥、手入れが仕切れずに自然が浸食し始めた庭園などを思い浮かべつつ、物思いに耽り始めた。
駅の間隔がかなり長かったせいか、駅に止まったころには再び寝息をたてていた。
暖かい日差しが背中にあたり、涼しい風が髪を撫でるといった、朝の居眠りには最適な環境だった。
そして私は突然目が覚めた。
それは私の右肩にトンと硬いものが当たったからだ。
私は右肩を見ると、そこには髪の長い小さな女の子の頭がぶつかっていた。
先ほど止まった駅で乗ってきて、そのまま眠りこけてしまったのだろう。
見ればまだ高校2、3年生くらいのかわいらしい寝顔をしていた。
しかしながら制服を気ながらこんな時間まで電車の中で居眠りとはけしからん限りだった。
当然のことながら人様のことをどうのこうの言える立場ではないが。
その子はクビから大きなカメラをぶら下げていた。
私にもこんな時期があった。
学校さぼってとにかく綺麗な景色を探す旅に出た。
そしてたくさん写真をとってフィルムが写真になるのを心待ちにしていた。
内容は散々たるものだったけれども、それでもあのとき一番よく撮れた写真は今でも財布の中にしまってあった。
私は彼女に肩を貸したまま、鞄の中にあった手帳に目を通した。
そこにはビッシリと文字が敷き詰められていた。
それは会社のスケジュール帳でもなければアイディアブックでもない。
それはこれまで書き連ねた空想の種本のようなものだった。
いわば自分が雑誌投稿をするためのネタ帳であり、冒険に駆り立てる想いを込めた大切な手帳なのだ。
私はそれを眺めながら真っ白な浜辺や、誰もいない湖、深い森の奥、手入れが仕切れずに自然が浸食し始めた庭園などを思い浮かべつつ、物思いに耽り始めた。