トナリの王子サマ
さっきまでの楽しい時間がうそみたいに、寂しくなる。


一人の夜には慣れっこだけど、さっきの時間を思い出すと少し怖い…

お風呂に入り、寝ようとしても何故か寝付けない。


ベランダに出て空を見上げていると…


「伊吹?」


突然名前を呼ばれた。

隣を見ると、成瀬くんもベランダにいた。


「成瀬くん!」

「何してんの?怖くて眠れない…とか?」



彼は冗談のつもりだろう、だけど…

図星なんだよ。


私は涙が出そうになり、「おやすみ」と言ってから慌てて部屋に戻る。


そして、思わず泣いてしまった。

一人の夜が怖くて泣いてしまうのって、いつ以来だろう…

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