トナリの王子サマ
そのまま彼は呟いた―


「さっきの…何?」

「…さっき?」




私は記憶の糸を手繰り寄せてみる、しかしよくわからない。


「はぁ…だから、成嶋に…」




その言葉で私は思い出した。

陽に抱きしめられて…泣いてしまったこと。




「そっ、それは…その」

「言えないこと?」



成瀬くんの声が怖くなる。

私は逃げたくなった。

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