トナリの王子サマ
言いながら、優しく唇を重ねてくれた。

…嬉しいはずなのに、今日は悲しい―




私は成瀬くんに抱きついた。


「伊吹?」

「…」

「離れろよ、さもないと襲うぞ?」




彼のいつもの脅し。


だけど、今日の私はこの言葉を待っていた―




「…襲って」




「は?」


「私を襲ってよ」

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