トナリの王子サマ
思わず顔をまじまじと見てしまう。

すると、成瀬くんは照れながら私を見つめ返した。


そして、メガネを直して、私を抱きしめた。

「ななな、成瀬くん?!」

「いーか?一度しか言わねーよ?」

「ふぁい…」






「俺、伊吹が好きだ」






―え?

私は彼の顔を見たかったけど、抱きしめられているので見れなかった。


「俺はずーっとお前が好きなの。…わかった?」


涙が溢れる。それは、成瀬くんから一番聞きたかった言葉。

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