誘拐 ―おまえに決めた―

「何も見えなければ、嫌なことも感じなくて済む?」


突然、リクは背筋が凍るようなことを言う。

いろいろな意味で。



「何それ。そんなことない。聴覚も触覚も嗅覚もある」


でも思う。

かもしれない、と。

だから、私は答えない。



「マイは賢いね。可愛いだけじゃない」


リクは私の頬に手をかけ、まぶたにキスを落とす。


何回も。

何回も。


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