誘拐 ―おまえに決めた―
その瞬間、ドアが蹴破られた。
広がるのは血の海。
そして倒れた人。
足元には銃が落ちている。
『クルマ』だ。
「なんて・・・・・・」
私、声が出ない。
「どうしてだ。なんで・・・・・・」
リクが問う。
銃を持ち、血しぶきを顔につけた『トイチ』に。
トイチはそんな問いはお構いなしに、話す。
「あれ? マイちゃん、身体拭いてもらってんの。いいな。
俺もリクに拭いてもらうかな。クルマの血で汚れたしな」
『マイちゃん』にいやらしいアクセントを置く。
鳥肌が立つ。