誘拐 ―おまえに決めた―
「おまえにばらされると困るからな。仕方なかった。殺すのはいつでもできる。
おまえは大柄だし、クルマが言うには運動神経がいいらしいから使えると思ったしな」
顔をゆがめてトイチは言う。
「ああ。俺も金が必要だったしな」
「リク、お前も悪い奴だよ」
二人は笑い合っている。
どういうことだか分からない。
やっぱりリクも信用はできない。
「そうか。でも本当にクルマが自殺なら、指に火薬のあとが残るはずじゃないか」
リクはトイチの言葉を遮った。