誘拐 ―おまえに決めた―

リクが叫ぶ。


言うが早いか、リクは手を挙げたままトイチに突進していく。



トイチは壁とリクに身体を挟まれる形でもがいている。

「何!?」

その衝撃で銃が床に落ち、暴発する。



振り向くと、私が先程まで立っていた壁に穴があいている。

恐怖で身が強張る。



「いいから、走れ! 振り向くな!!」

リクはプロレス技をかけるようにトイチを抑え込んでいる。

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