誘拐 ―おまえに決めた―
ぐいぐいと、無理やり入ってきた。
雨のカーテンを前に、私とリクは横並びに座った。
ちょうど電車の座席だと1.5席分位。
私は小さいけれど、長身のリクのせいで少しキツイ。
肩がぶつかる。
「マイ、あんな棒で撃退しようとしてた?」
ニヤニヤしながらリクは私を見る。
改めて指摘されて恥ずかしくなる。
「し、仕方ないじゃん! あれしかなかったんだから」
リクは手で口を押さえて、笑いをかみ殺す。
むかつく・・・・・・。
聞きたいことがたくさんある。
でもなぜか言葉が出てこない。