誘拐 ―おまえに決めた―

ぐいぐいと、無理やり入ってきた。


雨のカーテンを前に、私とリクは横並びに座った。

ちょうど電車の座席だと1.5席分位。


私は小さいけれど、長身のリクのせいで少しキツイ。

肩がぶつかる。



「マイ、あんな棒で撃退しようとしてた?」

ニヤニヤしながらリクは私を見る。

改めて指摘されて恥ずかしくなる。



「し、仕方ないじゃん! あれしかなかったんだから」

リクは手で口を押さえて、笑いをかみ殺す。




むかつく・・・・・・。


聞きたいことがたくさんある。

でもなぜか言葉が出てこない。

< 145 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop