誘拐 ―おまえに決めた―
「変なの」
つい、口に出してしまった。
「何が?」
リクは不思議そうに私を見た。
私を覗き込むリクの顔色が悪い。
元々色白だとは思っていたけれど、それを通り越して青白い。
出血していると、体温が下がるんじゃなかったっけ?
私にジャケット着せて、リクは大丈夫なのかな。
私は意を決して、ジャケットを脱いだ。
「マイ、着てろって・・・・・・」
私はジャケットをリクの肩にかけると、胡坐をかいて座るリクの膝の上に腰かけた。
「な・・・・・・」
リクは気圧されたように、口をパクパクさせている。
うまくリクの胸の中に入り込んだのはいいものの、心臓がバクバクする。