誘拐 ―おまえに決めた―

なぜそんな行為をしたのか自分でも理解できない。

私らしくない行動、ほんとに。



でもそんなことをモヤモヤと考えていたのは私だけではないみたい。


「何かたまってんの?」


リクはその場でかちこちにかたまって、私が声をかけても身動き一つしない。

背中越しにリクが硬直しているのが分かる。


今リクの部品の中で動いていることが分かるのは、髪から滴る水滴、そして背中から伝わる心音だけ。



私も、何だか振りむけない。

リクが見れない。

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