誘拐 ―おまえに決めた―
「だって約束すれば、逃げ切るまではマイと一緒にいれるだろ。だから、秘密の人質」
「秘密の?」
「そう。この秘密、マイは気になってる。絶対。たとえ俺に興味がなくても、その秘密には興味があるかもとずるい手段を使ってみました」
「ほんとずるいね」
私はそれだけしか言えなかった。
リクに興味・・・・・・。
どう、だろ。
気まずい沈黙。打ち破りたい。
「でも興味ないかもよ、その秘密にも。当然リクにも」
「あっさりだなー。切ないなー」
リクは苦笑いしながら、私の髪をくしゃくしゃ撫でた。
大きな手で。