誘拐 ―おまえに決めた―

沈黙をリクの声が破る。


「いいもの見っけ」

「何、急に」

「マイの鞄借りていい?」

「いいけど」





「これに、札束をできるだけ詰める。マイも手伝って」

「分かった」



100万円毎に束ねられた束。



初めて持った。

父親が数えているのは見たことがあるけれど、触ったことはない。



その重みを感じるうちに、何だか銀行で撃たれた男性のことを思い出して、何だか悲しくなった。


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