誘拐 ―おまえに決めた―
その次の瞬間、肺に空気が流れ込んでくるのを感じ、脳が再び活動しだす。
うっすら目を見開くと、リクが水中で私に口を重ねていた。
「んんんっ」
リクを見ると、私を抱えどんどん上昇していく。
月明かりが近くなっていく。
「はぁはぁっ」
水面から顔が出て、一気に呼吸ができるようになる。
「マイ、大丈夫か!」
「はあっ」
リクはまた私にキスをする。
人命救助の行為なのに、なぜか暖かい。