誘拐 ―おまえに決めた―
「リクっ・・・・・・」
何度も何度も唇を重ねる。
すでに、呼吸は整っているのに。
舌を絡ませ、相手の奥へ奥へと入り込もうとする行為。
お互いの唇から垂れるのは唾液なのか、それとも周囲の水分なのかも分からないまま。
ただもしここで私が終わってしまうなら、最期に感じたいものがあると。
その温かさを感じたい。
「んんんっ」
「マイマイっ」
きつく抱きしめられた時、私は今度こそ深く意識を手放した。