誘拐 ―おまえに決めた―

祭り会場にある電光掲示板に、とあるニュースが流れた。


「○○商事グループ会長、刺される。銀行強盗事件に巻き込まれている娘の舞さんが何らかの事情を知っていると~」




リクは驚いた顔をして私を見る。

「これ、ほんと?」

やっと開いたリクの口から出た言葉は、やけに小さかった。




その問いに、私は頬笑みと瞬き一つで肯定の答えを示す。




私ももう行くところがなくなってしまった。

私は落ちていたハサミを自分の喉につきつける。



「自殺なんて、ダメだ」

「離してよ。私、もう・・・・・・」

「事情を話すんだ。父親にされたこと」

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