誘拐 ―おまえに決めた―

まるでプロポーズのような言葉。



「どうするの?」

「ずっと一緒にいる」

「逃げるの?」

「逃げるんじゃない。俺が連れ去るんだ」



「だってだって・・・・・・」

言葉がうまく出てこない。



「言ったろ? おれ、祖父の家に貰われてからも家抜け出したりしてたって。クルマみたいな、いいやつとばかり付き合っていたわけじゃない。正直、荒れてたからな」

確かにそういう空気を持っている、リクは。



「だから、言いづらい話、裏に繋がりがたくさんある」

「裏?」



「そうだ。だから、俺たちは新婚旅行に行く!」

突然声色を明るく変えるリク。

< 211 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop