誘拐 ―おまえに決めた―
まるでプロポーズのような言葉。
「どうするの?」
「ずっと一緒にいる」
「逃げるの?」
「逃げるんじゃない。俺が連れ去るんだ」
「だってだって・・・・・・」
言葉がうまく出てこない。
「言ったろ? おれ、祖父の家に貰われてからも家抜け出したりしてたって。クルマみたいな、いいやつとばかり付き合っていたわけじゃない。正直、荒れてたからな」
確かにそういう空気を持っている、リクは。
「だから、言いづらい話、裏に繋がりがたくさんある」
「裏?」
「そうだ。だから、俺たちは新婚旅行に行く!」
突然声色を明るく変えるリク。