誘拐 ―おまえに決めた―

私は殺される。

間違いなく。




このリクという男、顔が丸出しだ。


しかも自己紹介までしちゃっている。

ご丁寧に。



犯人の顔を見て生きて帰れる幸運な被害者なんて、聞いたことがない。




「なんで、私の名前知ってんの?」

さっきから気になってた。




「手帳を見せてもらった。じゃないと人質の意味がない」



ああそうか。

私は人質なんだ。



改めて誘拐犯の口から聞くと、恐怖も倍増する。



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