誘拐 ―おまえに決めた―
「どうかしましたか? お嬢様」
「シンデレラなの? お嬢様なの? どっち」
「あ、そういうのこだわる? 設定があいまいでさ」
「はぁ?」
何考えてるの? この誘拐犯。
「ではでは、本当に失礼しますよ」
リクは右手を前に出し、左手を背中で折り、「ダンスでもいかが?」と言いだしそうな感じで礼をした。
金色の髪が私の足元で揺れた。
ふざけたように笑みを浮かべ、私の靴を両手で持ちゆっくりと踵から脱がせる。