誘拐 ―おまえに決めた―

また部屋に沈黙が落ちる。



部屋の空気が、冷たく重い。

無音の世界に、かすかに擦れる衣類の音だけ。




その空気を壊すように、またリクは作業に戻る。


先程よりやや乱暴にもう片方のハイソックスを脱がす。

(イライラしてる・・・?)

余裕のない動き。



右足には新しい傷がないことを確認すると、リクは頷くような動きをする。


ほっ、としたように目を伏せ。

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