星のラブレター
翔が先に自転車に乗り、
後から後ろに乗った。
「よく掴まってろよ。行くぞ」
あたしは翔の背中に掴まると
ゆっくりとこぎ始めた。
翔の体温があたしの手に感じられる。
優しく温かい。
風があたしたちの髪を揺らす。
…キイィィ―――
音を立てて
自転車が砂浜に止まった。
自転車から降りようとすると
翔が先に降りて
あたしに手を差しのべた。
「あ‥ありがと」
翔の手を握ると
あたしたちは手を繋いで
砂浜を歩き始めた。
「こう歩いてると恋人みたいだな」
「みたいじゃなくて
あたしたち付き合ってるでしょ?」
「知佳も俺も好きだとは言ったけど
付き合うってことにはなってないだろ」
翔ちゃんとしてるんだな…
あたしはてっきり、
二人とも好き同士で告白したら
自然に付き合うことになると思ってた。
前、付き合ってた人も
そうだったから…