ひまわり

家に着くまでの間、蛍のお母さんは母との懐かしい思い出を語っていた。しかし、他人の話にあまり興味がない私は適当に相槌を打っていた。


しばらくすると、昼に引っ越してきた新たな『我が家』が見えてきた。


『あ、ここです』


『大丈夫よ。知ってるから』


本当に蛍のお母さんはもの知りだと思った。まぁ、地元だから当然だけど。


玄関のインターホンを押して


『お母さん、私。彩乃。帰ってきたから鍵開けて』


声をかけると家の中の電気がパッと点いて暗かった家の周辺が一瞬にして明るくなった。


そのあとから母の声が聞こえて


『彩乃!!何時だと思ってるの!?夜の8時なのよ…って菜々じゃない。どうしてここに……？』


蛍のお母さんを見てヒートアップしていた声は徐々にいつもの母の声に戻っていった。


蛍のお母さんは私にアイコンタクトで『早く怒られないうちに家の中に入りなさい』と言うように目を合わせた。


それに促され、私は自分の部屋に入り、ベッドに飛び込んで、遠のく意識の中、母と蛍のお母さんの声が聞こえてきて、意識を失った。