狼クン達のオリの中②【完】
「そんな風に思ってるなら、こんなことしないし。
こんなことも、言わない」




「え・・・?」



「もう一度だけ、言う。
由梨ちゃん、君は、幸せな・・・人だね?」




「れ・・・玲王?」



「由梨ちゃんは。
好きな人に、好きって言えない悲しさを、知らないから」



玲王は足元を見つめ、あたしに視線を戻す。




「由梨ちゃんは。
好きな人が、この世にいないつらさを、知らないから」




玲王は、あたしの瞳をのぞきこみ、




「だから、つらくなれば、逃げ出そうとする。
だったら、一生、逃げ続ければ、いい」



はっきりと、これ以上ない冷たさで、言い放った。
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