狼クン達のオリの中②【完】
数分後。



「由梨ちゃん、ありがとう」



玲ちゃんはそっとあたしの手を握った。



その細く長く華奢な手のぬくもりに、あたしの心拍数は跳ね上がる。



「ありがとう・・・」



無垢な瞳を潤ませる玲ちゃんに、頭の芯までクラクラし。



あたしは胸をギュッと押さえて、口早に言った。




「危ないから、玲ちゃんのお兄ちゃんを呼んでこようよ」




「うん・・・」




部屋に引き返すため、玲ちゃんと廊下を並んで歩く。



あたしより上空の小さな顔に、かすかな目眩を感じ、あたしは必死に冷静を装った。

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