JKママ
「巴(ともえ)おはよー……」



教室に猫背になりながら入って、友達の巴に気の抜けた挨拶を送る。

あたしに気付いて、いじっていた携帯から目を逸らし、こちらを見た彼女はたちまち顔を引き攣らせた。





「お、おはよう……、て言うかその怪我如何したの?!!」


目を丸くして聞いてくる巴。
口の端を上げて、力無い笑みを浮かべる。




「ちょっと……いろいろとね~」



あたしの怪我は酷かった。

縫ったりするほどでもないけど、普通の怪我と一緒にはできないもので、それもそうだろう。





男に大きな石で頭を殴られたのだから。


詩音が救急箱を用意していたのにはあたしも吃驚した。超能力かっての。
昔から兄には嘘や隠し事は通じない。



「ちょっとっていう怪我じゃないよ、これ……。あんたミイラじゃん。」

「ミイラって言うなし。」


訝しげに傷を舐めまわすように見る。




「もしかしてさあ……、あんた喧嘩でもしたの?」


流石に図星を当てられては平常心を保つのは難しい。

「そ、そんなわけないじゃん!!
次の大会も近いのにさ!」



それでも巴は怪しむ素振りを辞めない。
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