天国への階段 ―いじめ―
――それは、ゴキブリの死骸だった。
それも、一匹ではなく大量に、私の机にいた。
昨日まで仲が良かったクラスメイトの中から、「気持ち悪い」という声が響いた。
もともと、北澤高ノ台中学校では、小さな仲間はずれがそこらじゅうでおきていた。
同じグループ内で、誰かがハブられ、次にはまた他の誰かがハブられ……というような、上辺だけとしか言いようがない友情も多い。
そして、そのゴキブリ事件から、私はいじめられ始めた。
「そんなことで?」と思うかもしれない。
そう、”そんなこと”で、私はいじめられ始めたのだ。