天国への階段 ―いじめ―
思考回路が停止したようだった。
頭が真っ白になる。
唐突で衝撃的な万里香の言葉を、しばらく呑み込めない。
ゴキブリを撒いたのは、万里香?
私の机のまわりにゴキブリを撒いたのは、万里香?
いじめをはじめたのは、万里香なの……?
「は…………なん、で……」
「羨ましかった、から……!
海結は、すべてを持っていたから……」
そこから、万里香の話は始まった。
たどたどしく、でも、重い、すべてのはじまりが、その話の中には在った。
私の知らない、狂った世界の向こう側――。